こんにちは!
要注目の観光地・福岡県糸島市で、
ゲストハウス「前原宿(まえばるしゅく)ことのは」を運営する、のぎー&かなです。
本日もブログ訪問ありがとうございます!
「公立」や、またまた「私立」と呼ばれる、お金持ちな雰囲気の学校とも異なる学校を、「フリースクール」と呼んだり、「オルタナティブスクール(もう一つの学校)」と呼んだりします。
教育に求められる要素が多様化する中、日本中各地に作られていますが、ここ糸島にも徐々に増えつつあります。
その一つ、NPO法人「産の森学舎(さんのもりがくしゃ)」さんをご紹介します。
学校は海と山に囲まれた、糸島の自然の中
産の森学舎さんは、JR大入(だいにゅう)駅近くの二丈福井というエリアにあります。
自然豊かな糸島二丈
二丈は山と海との距離が近く、ある意味糸島らしい風景が凝縮したようなエリアです。
ただ、ここまで来る電車の本数はガクッと減るので、アクセスは少し大変です。
↓二丈福井
映画に出てきそうな、単線の鉄道です。
鉄道を超えて、集落へ入っていきます。
↓蓮
蓮の葉がお出迎えです。
レンコン美味しそう!
集落は昔ながらの農家さんが多いエリアで、建物はどれも立派です。
車一台通れるくらいの細い路地をうねうねと進んでいきます。
特に「産の森学舎」さんはコッチ!というような看板はないので、道にはご注意を。
私たちはうっかり通り過ぎました。笑。
↓二丈の山並み
南側には二丈の山並みが広がっています。
↓海が見えます
北側を振り返れば、青い海です。
心地よい風が通り抜けます。
ここ学校ですか!?
産の森学舎さんに着きました。
↓産の森学舎
着いて、一言。
「ここで間違ってないかな?」笑。
ただ、普通の民家とは違い、何かをやっていそうな雰囲気がありますね。
お忙しい中、代表の大松さんカップルにご案内頂きました。
ありがとうございます!
なければ作ってしまおう!
代表の大松さんカップルが、産の森学舎を始めて2018年で4年目になるそうです。
またそれ以前から、糸島の志摩久家という場所で「みつばちおうちえん」という保育園を経営されておられます。
もともと教育関係の仕事をされていたのかと思いましたが、そうではなく、お二人とも福岡市出身で東京で働き、Uターンしてきたら、子供に受けさせたいと思える教育がなかったので、自分たちで始めたとのことでした。
なければ作ってしまおう!
私たちがやっている野外映画祭「いとシネマ」と同じ発想で、とても共感しました。
法律的にも認められつつあるフリースクール!
↓教室
↓図書ルーム
↓デッキテラス
現在、約20名の子供たちがここで学んでいます。(*その内2名は中学生とのこと。あとは小学生)
私は知らなかったのですが、2016年に施行された「教育機会確保法」によって、「(義務教育の学校を)休んでもよい」ということと、「(フリースクールなどの)学校以外の場の重要性」が認められました。
やはり、義務教育が第一であって、積極的にフリースクールを活用しよう!というわけではありませんが、既存の学校に馴染めないなら、無理せずフリースクールなどもありだよ。という法律です。
多様な学びの場が認められた第一歩ですね。
産の森学舎さんに通うお子さんは、地域の小学校に籍を置きながら、実際はここで学ぶわけですが、そのような連携が徐々にやりやすくなっているわけです。
自由に伸び伸びと!
私たちは、世界一周旅行中に、ボリビアのフリースクール「Flor de Montaña」に立ち寄った時に、参加する親御さんがそれぞれの得意なことを生かして、教育される様子に感銘を受けました。
産の森学舎さんでも似たような方針があって、代表の大松さんを始め、協力してくれる方々の得意なことを生かした授業を展開されておられます。
時間割もざっくりと。
「午前の授業」と、「午後の自由時間」です。
午前中は先生の授業を中心に。
しかも1日1授業。
代表の大松さんがかずやもじについて教えたり、講師の野島さんがしぜんの授業を行ったり。
国語とか算数、理科とかは???
と思ってしまいますが、本来、現実社会では何かの課題を解決しようとする時、様々な分野の知識や経験が必要となります。
例えば、環境問題を考える時、技術や地球環境を理解するための理科や数学の知識も必要になりますし、先人の知恵や文化にヒントを探すための歴史や社会の知識も必要になります。
さらに多くの人を巻き込むためには、言葉やアートなどの芸術が必要になります。
産の森学舎さんでは、ドイツ発祥でオランダで発展した学習法「イエナプラン」の考え方を大きく取り入れておられます。
上記の話はその中の「ワールドオリエンテーション」という考え方になります。
そんな高度なことを小学生ができるの??
と思ってしまいますが、じっくりと時間をかけて、一人ではなく他学年のメンバーと一緒に取り組むことで、それを可能にしています。
現在主流の国語、算数、理科、社会と教科に分けて学ぶスタイルは効率的ではありますが、専門外には無頓着な人を増やす結果に陥りがちで、複雑な要素が絡まり合う、現実に起きる問題を解決するのが難しいと、近年では言われています。
イエナプランのような方法は、習得すれば、「良い考え方の癖」になりますので、本当に将来に渡って有益ではないかと思います。
大松さんは、産の森学舎では子供たちに「何か1つでも深い体験」をさせたいとおっしゃっていました。
確かに、今の公教育は「浅く、広く」なので、振り返ってみると何も残っていない・・・なんてこともあるかもしれません。
重要な考え方だと思います。
食の大切さを学ぶ
産の森学舎さんでは、「食の大切さ」を学ぶのも、大きな教育の柱にしておられます。
有機野菜を週に2回、近くの有機農家さんに届けてもらって、それを使って、小学生自ら料理をします。
作るのは当番制なんだそう。
↓キッチン
面白いことに、子供たちは、農家さんが運んできた野菜を見ながら、「今日は、この野菜とあの野菜を使ってスープを作ろう!」とか「葉物は傷むのが早いから、今日のうちに料理しよう!」とか、レストランのシェフ顔負けの発想で料理をするのです。
食べ物は自分の体を作り、さらに自分の考え方さえ形作ってしまいます。
イライラしがちな人が食習慣を変えるだけで、穏やかで冷静な人になることだってあります。
それくらい大事な食事ですが、添加物や保存料などを含めて、日本人は無頓着な人が多いように感じます。
私が東京に住んでいた頃、周りの友人・知人たちの子供はほとんど、何らかのアレルギーを持っていました。
原因は色々あるでしょうが、昔の人はこんなにアレルギーで困っていたかな?と思うと、やっぱり食べ物の影響は計り知れないのでは?と考えるようになりました。
自分が食べるものに関心を持つのは、これからの時代は必須だと思います。
特に、「美味しい食材」がどういうのかを知っているのと、「食材には旬がある」のを知識ではなく、体感として、知っている必要があります。
やはり、慣行農法で大量生産された野菜は、正直、野菜の味がしませんので、子供がそれを好きになるのは難しいと思います。
さらに、野菜にしろ魚にしろ、旬の時期とそれ以外の時期では、全く味わいが異なります。
自分で料理をすると、その2点に気付けるので、本当に素晴らしい取り組みだと思います。
大松さんに話を伺うと、「4年生くらいになると、自分でレシピを考えて、包丁を持って、火を使って、好きに料理が出来るようになっている」とのこと。
いいですねぇ。
お母さんが外出していないから、食べるものがない、とは絶対に言わないでしょうね。
そのたくましさ重要です。
産の森学舎さんは、科目を勉強する以前に、「生きる力」を学べる場だと感じました。
集落全体が学びの場
授業自体も建物内だけで完結するわけではありません。
外へも頻繁に出かけるそうです。
私たちが訪れた日は、糸島在住のネイチャーライターの野島智司さんが「しぜん」の授業をされておられました。
野島さんの「しぜん」の授業
朝の2時間ばかり、集落や海の方まで歩いて、貝殻などを拾ったり、虫を観察したりするフィールドワークを行ったようです。
↓野島さん
カタツムリ博士とも呼ばれる野島さん。
動植物の生態に本当に詳しい。
そんな特別な方に色々教えてもらえるなんて、本当に素晴らしいです。
↓拾ってきた貝殻
今回は、貝殻を海辺で拾ってきたようです。
「この貝はなんとか貝で、その貝は・・・」
子供たちは貝に釘付けです。
贅沢な時間ですね。
授業自体はどの先生の授業でも、
用意しない
与え過ぎない
ヒントだけ
を意識して、子供たちが自分から学びたいという姿勢になるように心がけておられます。
自立の精神で!
教室を見回してみると、ユニークな掲示板がありました。
↓掲示板
こんな掲示板を見るだけでも、普通の学校とは少し違うのが分かります。
普通の学校は、クラスの人数が多すぎるからか、何か情報発信・問題解決しようとなれば、先生主導になりがちですが、ここでは、あくまで子供たちに主体性があるように感じました。
「ちゃわんはおくからおいてください」
どのように運用されているのかは聞きそびれてしまいましたが、こんな掲示をもとに、茶碗を奥から置いたらどんな良いことがあるのか、とかみんなで考えてみたいですね!
↓大松さんと一緒に!
この地域は近年、高齢化が進み、ほとんど子供がいなかったようで、産の森学舎さんが出来て、久しぶりに子供たちを見た!と地域からも好意的に受け止められているようです。
大松さんたちも地域の理解が得られるように、地域とのコミュニケーションもちゃんと意識されておられるとのこと。
糸島の公立の小学校は、地域の人口減で統廃合も検討されているエリアもありますので、ますます、このような地域に根差したフリースクールの価値が上がってくるんじゃないかと感じました。
大松さんたちも「私たちのやり方は定員20人程度が適当なので、むしろ、様々な人が様々なフリースクールを開いていけばいいと思います」とおっしゃっておりました。
本当ですね。
既存の公教育に疑問を持っておられる方も多いので、地域に根差したフリースクールに若い世代が集まり、引っ越してきて、地域の人口減少に歯止めがかかる、そんな展開もあり得るのかもしれないと思いました。
2018年現在、産の森学舎さんは定員いっぱいのようですが、見学は受け付けておられるので、ご興味ある方はぜひご予約してからお出かけください。
どうもありがとうございました。
施設情報
施設名:産の森学舎
住所:福岡県糸島市二丈福井
HP:http://www.sannomori.org/
(※2018年7月現在の情報です)
明日も糸島を楽しみます!!
**糸島コンシェルジュがいる宿**
福岡・糸島ゲストハウス
前原宿(まえばるしゅく)ことのは
(Itoshima Guesthouse Kotonoha)