こんにちは!
要注目の観光地・福岡県糸島市で、
ゲストハウス「前原宿(まえばるしゅく)ことのは」を運営する、のぎー&かなです。
本日もブログ訪問ありがとうございます!
11月5日〜11日に開催しましたイベント「前原DIYリノベウィーク2018」の連続レポートの第一弾です!
「今、前原が面白い!お話し会&ワークショップ」@古材の森
前原DIYリノベウィークの1週間に、本当にたくさんのイベントをさせて頂きましたが、ハイライトとも言えるのが、11月6日の夜に開催させて頂いた「今、前原が面白い!お話会&ワークショップ」です。
「前編」では、お話会の様子を、「後編」ではワークショップの様子をご報告させて頂きます。
古材の森さんの土間を使って、前原の近年の変化を追った展示をさせて頂きましたが、その内容を詳しく説明するとともに、みんなで前原の未来を考えるワークショップを開催しました。
33名の方にお集まり頂きました。本当に感謝です。
急激な変化!どんどん面白くなる前原商店街!
お話し会で私がお話した内容をダイジェストで以下にご紹介しますね。
↓今、前原が面白い
↓前原商店街について
前原商店街は、JR筑前前原駅から徒歩で行ける商店街です。
実は、いくつか商店街組合があり、それぞれの商店街に名前がありますが、前原以外の方から見た場合、なかなか分かりにくいのではと思い、私としては地域のイメージとして、「前原商店街」と呼ばせて頂いております。
↓前原歩帖
だいたい、筑前前原駅前から旧宿場町のあたりで、地域マップ「前原歩帖」の中心部に収まる地域になります。
↓シャッター商店街
昭和の時代は、糸島一の繁華街として栄えた前原商店街ですが、2000年代に入り、郊外に大型ショッピングモールができ始めてからは衰退してしまい、今では、一部ですがシャッター商店街と化しています。
↓伝統建築が残る街並み
ただ、伝統的な建築物や昭和の可愛い建物が今でも残り、とても味わい深い街並みがあります。
↓前原もっと楽しもうプロジェクト
そんな中で、前原をもっと楽しもうという有志で、「前原もっと楽しもうプロジェクト」を結成しました。
地域を大切にする姿勢を持って、前原を楽しみたい方なら誰でも参加できるプロジェクトです。
やっていることは色々ありますが、月一回、1日の朝8時から行う、まちのお掃除活動がメインです!
前原の商店主のみなさんが昔から行っておられた、清掃活動に混ぜてもらう形で行っています。
人と人が出会い、地域の人とも仲良くなる貴重な機会です。
誰でも気軽に参加出来ますので、ぜひいらっしゃってください。
また、街が綺麗になると、(街のことをちゃんと考えてくれる)良い人が集まってくると言われており、まちの活性化を考える上でとても重要なイベントとなります。
そんな活動の成果もあってか、ここ2年で13店舗以上の新規出店が相次いでいます。
(以下の糸島新聞さんの記事を参照!)
↓糸島新聞記事
あまりの急激な変化で、観光客はもとより地元の人も全く気づいておりません。
本当にもったいない!!
なぜ、そんな状況になったのか、私たちもびっくりしております。
そこで、その理由を解き明かそうと、商店街に関わってきた様々な人にインタビューをして、しっかりとまとめてみました。
歴史をふり返ろう!前原は飲食スタートアップに向いている!
2006年に古材の森さんが出来て以降の動きを中心にまとめました。
まずは、「出来たお店」から!
前原近代史(出来たお店編)
↓前原近代史(出来たお店編)
(あらかじめ断っておきますが、すべてのお店を網羅できておりません。)
私たち「前原宿ことのは」が開業した2016年を基準にすると分かりやすいです。
それ以前は、数年に一回お店が出来るくらいの頻度ですが、2016年以降は、急にペースが上がり、2018年後半は毎月のように新規出店が相次いでいます。
古材の森さんは、もともと解体される予定でした。
江戸時代は福岡藩の財政を支えていた時期もあるほどの豪商・西原家のお屋敷ですが、管理もままならなくなり、当初オーナーさんは解体を考えておられました。
解体材の引き取りを依頼された、太宰府の油機エンジニアリング社の牧田会長が西原家を見に来て、「立派すぎてとても壊せない!」となり、自らカフェの営業を始めたのが古材の森の始まりです。
地域のシンボルのような素晴らしい建物が、壊されずに活用された影響は計り知れなかったと思います。
もし西原家が壊されていたら、他の建物も「右に倣え!」で、更地にされて、商店街はただのマンション街になっていたかもしれません。
個性あふれる新規出店店舗
↓新規出店店舗
さて、ここ数年でオープンした店舗はどれも個性派ばかり!
多くのお店では、自らペンキやノコギリを持って、内・外装を施す、DIY(Do It Yourself)を行っています。
店主も素敵な人たちで、話していて本当に楽しい!
ぜひ前原の商店街を訪れて欲しいと思います。
また、地域の歴史は掘り起こせるだけ掘り起こすのが重要です。
なぜなら、まちの個性やアイデンティティというのは、歴史の積み重ねの中で自然に出来たものだからです!
過去に何があったかを、出来る限り知ろうとするのは、現状をただ眺めているだけでは分からない、まちの活性化に関する深いアイディアが得られる可能性を潜めています。
前原古代史
↓前原古代史
実は前原に関しては、江戸時代以降は様々な文献がありますが、それ以前はめっきりと少なくなります。
それで急に縄文時代に遡ってしまいますが、縄文や弥生時代は、上記のイラストのように、糸島半島は左右の「付け根」から海がぐっと入り込んでいて、実際に「島」のようになっていたと言われています。
実際、前原の宿場町の北側には、江戸時代に、志摩(島)側へ舟で人や物資を運んでいた「舟渡し」の碑があります。
なんと、つい最近まで、前原のところまで海が来ていたんですね。
江戸時代に一気に干拓が進んで、海は4km以上遠くになってしまいましたが・・・・
上記のイラストで興味深いのは、前原の立地です!
加布里方面の海が一望出来る、見晴らし抜群の「岬」のような場所です。
「見張り」などをするのに絶好の場所のように感じます。
しかも「岬」が西側からの風除けになり、前原から東側は、舟を付けるには絶好の場所のように思われます。
弥生時代、「伊都国」という古代国家があり、中国や朝鮮からの使者はまずは伊都国に立ち寄る必要があったと、中国の公式歴史書「魏志倭人伝」には書かれています。
「一大率」と呼ばれる、軍事や外交の拠点が伊都国にあったからです。
伊都国の立地としては、糸島という説が有力ですが、諸説あります。
仮に糸島だとすれば、「港」がどこかにあったはずで、古代の地形をみれば「前原」はその最有力候補だと思います。
地面を掘って、遺跡を見つけないと本当はどうだか分かりませんが・・・
ただ実際、江戸時代には、現在の天平工房さん(かつての西原家本家)の北側敷地には、土蔵が10数軒並び、船から荷物を運び入れてたそうです。
その海運の機能がいつからあったのかは定かではありませんが、古代から続いていたとすれば、本当に興味深い話だと思います。
前原商店街の「特別な」性格
↓前原商店街の性格
歴史を振り返ると、前原商店街はただの宿場町由来の商店街ではない可能性があります。
推測の域は出ませんが、長い間、かなり広い範囲で交流や貿易を行ってきたかもしれません。
ゆえに、基本的に新しいものや文化に寛容で、ユニークな人を面白がる余地があると思うのです。
↓前原発祥のお店
商店街の街角にベンチを置こうという、「商店街ベンチプロジェクト」を現在進めています。
その際に気づいたのが、前原発祥で、ビッグになったお店が複数ある点です!!
びっくりしましたが、福岡市内はもとより、東京・ハワイ・台湾・タイとガンガン出店を重ねる「焼きとりの八兵衛」さんの「本店」は前原の商店街にあります。
かつては八島精肉店だったと言います。
また、福岡市内やその周辺に、巨大な店舗を複数持つ、「中村家具」さんも前原商店街発祥の家具屋さんです。
そういったお店の存在を知った時、「なぜそんなすごいお店が前原から???」と不思議に思っていました。
歴史をこうやって掘り下げてみると、脈々と根付く交流や貿易の歴史が下地として存在したからでは、と仮説を立てています。
宿場町由来の商店街は全国にたくさんありますが、どこでもそんなスーパーなお店が現れてくるかというとそうではありません。
かなり前原は特殊だと思いました。
飲食の聖地!前原サンセバスチャン計画
↓前原の将来
土地が人に与える影響は思った以上に強烈です。
そんなこんなで、前原で起業すると、「化ける」会社が現れるかもしれない!というのが現在の持論です。
そのためには商店街が、ただ消費するだけの場所から、人と交流して、新しい価値や文化を作り出す創造の街になることが求められています。
そして、糸島の「地産地消」の豊かな食文化を背景にすれば、前原は、特に「飲食関係」の起業に向いています。
公共交通が集中していて、お酒を飲みやすいのが最大のポイントです。
やっぱり飲食業はドリンクが売れないと、かなり経営的に厳しいと思われるからです。
↓前原サンセバスチャン計画
それで、「前原サンセバスチャン計画」です!
私たちが世界一周旅行中に訪れた、世界一の美食の街「スペイン・サンセバスチャン」にあやかって、前原を飲み歩きが楽しめる、ハイレベルな食の街にしようという計画です。
サンセバスチャンが世界一になったのには、いろいろと背景があるので、簡単にはいかないと思いますが、前原が目指す価値がある街だと思っています。
(サンセバスチャンについては、以下の本をご参考ください)
前原DIYリノベウィーク期間中には、前原が注目を浴びる良い機会だと思い「マエバルウォーク」という飲み歩きイベントを開催しました。
バタバタで各方面ご迷惑おかけしましたが、色々と喜びの声も上がり、やってよかったなぁと思いました。
飲食で前原に出店されたい方は、ぜひ私たちにお声掛けください。
ないものは作ればいい!前原を舞台にしたイベントの数々
さて、話は現代に戻って、今度は前原で行われた、イベントや様々なプロジェクトを追っていきます。
↓前原近代史(イベント編)
古材の森さんが開業した2006年から、私たち「前原宿ことのは」が開業した2016年にかけて、出店数は少なかったのですが、実は様々なイベントやプロジェクトが発足していました。
前原宿と街道御膳体験ウォーキングツアー
↓ウォーキングツアー
例えば、古材の森店長・有田さんが行う、「前原宿と街道御膳体験ウォーキングツアー」です。
2時間も歩きまくるのですが、古地図や間取り図などを持ち出し、現代に色濃く残る江戸時代からの名残を解説する、超ディープな町歩きツアーです。
街の歴史を知ると、街が生き生きしたものに見えてくるから不思議です。
栗まんじゅうプロジェクト
↓栗まんじゅうプロジェクト
そして、伝説の栗まんじゅうを復活させたプロジェクトです。
糸島の居酒屋チェーン「赤ひげグループ」を率いる女将・前田さんが主導しておられました。
毎週末、商店街で栗まんじゅうを売っていたそうで、多い時には30名以上のボランティアが集まる、大所帯イベントだったようです。
プロジェクト自体は諸事情で終わってしまったのですが、人の縁をつなぐ効果があり、ボランティアで参加していた、ここのき店主の野口さんが商店街に出店できたのも、前田さんが出店交渉をサポートしてくれたおかげなんだとか。
軽トラ市&めいてん
↓軽トラ市&めいてん
IT講師の山内さんが主体的に関わられたプロジェクトです。
商店街に軽トラがやってきて、荷台に積んだ野菜などを販売する青空市です。
毎月最後の日曜日に開催していて、2019年に第100回を迎える、ご長寿イベントです。
めいてんはシェア教室です。
2017年度で終了し、跡地は「プレジール」さんという花屋がDIYリノベーションをして、引き継がれました。
めいてんでお試し起業して、それから他の場所で本格開業されたお店もいくつもあるそうです。
いと愉会
↓いと愉会
移住者の竹野さんご夫妻が、めいてんの山内さんと知り合ったのが縁で、開催している落語イベントです。
東京から三之助師匠をお呼びして、前原の街に笑いを呼び込んでいます。
みんなで楽しくゴミ拾い by 前原もっと楽しもうプロジェクト
↓みんなで楽しくゴミ拾い
私たちの行っている、ゴミ拾いです。
毎月1日の午前8時から!
前原の楽しみ方
↓前原の楽しみ方
こうやって振り返ると、前原は基本周りに迷惑さえかけなければ、あれやりたい、これやりたい!を比較的寛容に見守ってくれる場所だと感じます。
そして、シャッター商店街のままだった2006年〜2016年の間、多くの人が様々なイベントを通じて、ご縁をつないでいったおかげで、2016年以降の出店ラッシュに結びついたと思われます。
急激な化学変化が起きる前には、反応の条件を整える「下準備」の時間が必要ですが、まさにそんな時間だったと言えるでしょう。
また2016年に、吉住開発の若き跡取り・剛くんが「前原未来会議」を立ち上げて、遠くから先生を呼んで、地元の商店主さんや議員さんも巻き込んで、前原の街をもう一度みんなで考えてみましょう!と言い出したのが、急激な化学変化が起こった直接的なきっかけだったかもしれません。
そして、世代交代のタイミングでもあります。
まぁ、とにかく前原は動き出しました。
すごいことです!
古いものを大切にすれば、街が良くなる!
そして私たちがお掃除以外にも取り組んでいることがあります。
↓商店街ベンチプロジェクト
商店街ベンチプロジェクトは街角にベンチを置いて、会話や交流のきっかけを作る活動です。
実際しっかり動いているプロジェクトで、とりあえず4台ベンチを設置するべく、糸島の間伐材を切り出して乾燥させているところです(2018年11月現在)。
今となっては経済最優先のデパートやショッピングモールにすらベンチがずらっと並ぶ時代です。
商店街に誰もが休める場所があまりないのは、やはり残念です。
ベンチは「商店街にようこそ」のサインでもあるのです。
このプロジェクトは、以前、古材の森さんで行った「韓国・釜山のまちづくり報告会」で行ったワークショップから派生しています。
↓前原DIYリノベウィーク
そして前原DIYリノベウィークです。
普通の賃貸は年が経てば経つほど、建物が価値が下がっていくだけですが、DIYリノベーションを施すことで、価値が上がる場合があって、本当にとても衝撃的なのです!
↓冷泉荘
日本において、DIYリノベの最も有名な例が、中洲川端の冷泉荘です。
築60年のオンボロアパートが、DIYリノベで貸し出すことで、家賃の大幅アップや建物内のコミュニティ作りに成功!
普通はとり壊すしかない物件が見事に再生したというので、全国から見学者が絶えないビルになっています。
↓古いものを大切に!
結局、冷泉荘が行ったのは、「古いものを大切にメンテナンスする」という行為でした。
実は欧米では当たり前の価値観で、新築の物件より築100年を超えるような物件の方が高値で取引されることも多いと言います。
それはオーナーや使用者がしっかりメンテナンスをして、価値を高め続けた結果に他なりません。
メンテして住み続ける人がいるのは、その場所が安全で、良好なコミュニティがあり、長く住みやすい証拠になるのです。
ようやく日本でもその流れが起きてきました。
しかも福岡発で!
↓私たちのミッション
何はともあれ、私たちは古いものを大切にすれば良いことがあると、「前原もっと楽しもうプロジェクト」を通じて、糸島に広めていきたいと思います。
それが糸島がずっと住みやすい街になるきっかけになると思います。
後編では、ワークショップの様子をレポートします!
【後編】今、前原が面白い!お話会&ワークショップ@前原DIYリノベウィーク2018
参加店舗での楽しいイベント@前原DIYリノベウィーク2018
(※2018年11月現在の情報です)
明日も糸島を楽しみます!!
**糸島コンシェルジュがいる宿**
福岡・糸島ゲストハウス
前原宿(まえばるしゅく)ことのは
(Itoshima Guesthouse Kotonoha)