「天平工房(てんぴょうこうぼう)」創造的な、博多人形の工房&ギャラリー

天平工房 - 内観

こんにちは!

要注目の観光地・福岡県糸島市で、
ゲストハウス「前原宿(まえばるしゅく)ことのは」を運営する、のぎー&かなです。
本日もブログ訪問ありがとうございます!

福岡の名産といえば、やはり「博多人形」を外すわけにはいきません。
人形の部では全国で初めて伝統工芸品」に指定されたほどですから!

そんな博多人形の工房が、なんと前原(まえばる)にあります。
天平工房(てんぴょうこうぼう)」さんです。

工房&ギャラリーは築200年を超えるお屋敷!

前原の商店街の中に、天平工房さんはあります。
ここは、博多人形師・天平大雅(てんぴょうたいが)さんの工房です。

糸島の雑貨店「ここのき」さんやお屋敷レストラン「古材の森」さんのすぐ近くにあります。

外観

築200年以上の民家をリノベーションして、工房&ギャラリー&住居として使用されておられます。

↓外観
天平工房 - 外観

シンプルながら、かっこいいですね〜。
ギャラリー入り口は写真左側のドアから。

基本、作業されておられますので、壁にあるチャイムを鳴らしてお待ちください。

ギャラリー内観

階段を登った2階にギャラリーがあります。

↓ギャラリー内観
天平工房 - 内観

まず目に飛び込んでくる、建物の梁
立派です。

建物は築200年を超えます。
ここは西原家本家といって、江戸時代に福岡藩の財政を支えていた時代もあるほどの、豪商のお屋敷でした。

↓築200年を超える、立派な屋根組
天平工房 - 梁

見ているだけで惚れ惚れする屋根組みですね。
今となっては、こんな立派な材料を、林業が衰退した国内で調達するのはほぼ不可能なので、とても貴重です。

魂のこもった博多人形

博多人形は400年の歴史を有する、日本でも最も有名な人形の一つです。
基本は、「型物」といって、石膏で型を作って、複製が作れるのが博多人形の特徴です。

かつては博多素焼人形と呼ばれていたように、素焼きに絵付けをした温かみのある質感と、細かな彫り込みのある繊細な表現が、独特の魅力として知られています。

日展で特選を獲った、抽象造形も!

天平大雅さんの作品の特徴は、そのような伝統的な博多人形らしい作品に加えて、オブジェのような抽象造形や、型を使わない一点物の作品も手がけられる点にあります。

↓伝統的な博多人形と抽象造形作品
天平工房 - 博多人形

左側の真っ白なオブジェのような作品が、抽象作品です。
人形師といえば、職人のような気質で、ここまでアーティスト寄りの作品は作らないと思い込んでいましたが、抽象作品を見て、びっくりしてしまいました。

↓2017年、日展特選作品「真空のゆらぎ」
tenpyokobo - 日展(写真は糸島市役所Facebookより)

天平さんが手がける抽象作品はなんと、日本最大級の美術展「日展」において、最高賞の「特選」を2度も受賞されるという快挙を成し遂げられています!!

毎年、全国から1万点以上の作品の応募がある中、特選が受賞できるのは、ほんの50人程度です。

いかにすごいかが分かりますね!

↓一点物も!
天平工房 - 博多人形2

さらに、型物以外にも一点物の博多人形も作っておられます。

素人目には型物と一点物の見分けが難しい点もありますが、型を使うと、型を抜く時に作品を壊してしまう恐れがありますので、実は繊細な造形や表現には限度があります。

一点物の場合は、型を使わずに作るため、しっかりと作り込めて、より豊かな造形・表現が可能です。
ただし、複製が不可能なのでまさに唯一無二の作品となります。

一般的な博多人形の作り方

伝統工芸の世界は、職人気質で、メディアにずんずん出て行くような人はそれほど多くありません。
ゆえに、私のような一般の人間にはどのように制作が行われているか、全く想像がつかない部分があります。

せっかくなので、型物と呼ばれる、一般的な博多人形の作り方を以下にご紹介しますね。

STEP.1
原型づくり
ロクロの上に、粘土を使って、人形を立てて、それを彫り込んでいきます。完成形でもあるので、熟練の技が必要な重要な工程です。
STEP.2
型取り
原型を石膏で固めて、型を取ります。複雑な形をした人形の場合は、部分に分けて型を取ります。
STEP.3
生地づくり・焼成
石膏の型に粘土を押し付けて、生地を作り、それらを型から外して、原型の通りに組み合わせます。それから窯に入れ、人形を焼き締めます。
STEP.4
彩色
胡粉(ごふん)という顔料などで下地を塗ったあと、様々な顔料を使い彩色を行います。
STEP.5
面相
人形の「表情」を決定づける部分への着色を行います。口紅や目、まゆなどの部分です。原型作りと並んで、最重要な工程になります。

人形のごとうさんのHPを参考に書かせて頂きました。

思った以上に様々な工程がありますね〜。

天平さんのスタイル

伝統工芸の世界は、基本、分業制で成り立っています。
例えば、型を作る人と彩色をする人は別なのが普通です。

博多人形作りも分業制がなされていた時代もあったようですが、天平さんの場合、修行時代に師匠から、「これからは一人で何でも出来ないといかん時代かもしれん」と言われ、全工程を一人で出来るように叩き込まれたそうです。

確かに分業制は効率良く、高品質の作品を作るのには向いていますが、反面、大きな需要がなければ成り立ちませんし、広い作業スペースも必要となります。
職人同士もなるべく同じエリアにいた方が効率が良いでしょうから、糸島の前原で工房を単独で開くことも昔なら難しかったかもしれません。

時代の流れでかつてより需要が減った現代では、一人で何でも出来ることが大切なのかもしれません。

天平さんは、「自分で全部出来るので、(分業制ならばとても大切な)タイムリミットを気にせず、手間を惜しむ必要がない」とおっしゃいます。

ゆえに、複雑な形の人形にも挑戦しやすいそうです。

天平工房の場合、旦那さんと奥さん、二人とも人形師で、奥さんが上野焼(あがのやき)を勉強された経験も生かして、博多人形作りに陶芸の手法も使っておられます。

具体的には、陶芸の要領で、色付けしたあとに釉薬をかけて窯に入れて焼くこともあるそうです。
そうすると、従来より色が鮮やかに出るそうで、独自性の高い天平工房さんの博多人形は、今、非常に注目を浴びています

精巧な作品を作るのは本当に時間がかかるんだろうな〜と思って話を伺っていると、「いや、むしろ作るのより時間がかかるのは、どんな顔立ちにしようか、どんな服装にしようか、どんな構図にしようかという『構想』の段階で、様々な資料や文献を読みあさったり、頭の中で想像を巡らせたりして、徐々に作品の全体像を決めていっています」とのことでした。

「構想」は終わりがない作業なので、アイデアを形にすべく、時には何年もかけて、アイデアを煮詰めるそうです。

気が遠くなりますね〜。
時間をかけて「想像」することが、「創造」につながるんだろうなと感じました。

本当にすごいです。

工房での作業風景

同じ建物の1階に工房が併設されていて、通りに面しているので、作業の様子を外から伺うことも出来ます。

1階が工房

今回は特別に、工房にお邪魔して写真を撮らせて頂きました。
ちょうど絵付けをされておられました。

↓絵付けの様子
天平工房 - 作業風景

天平工房 - 作業風景2

天平工房 - 作業風景3

素晴らしい集中力で作業されておられます。

この糸島・前原商店街に、博多人形の工房があるのを知らない人も多いと思いますので、近くにいらっしゃる機会があれば、お気軽にギャラリーに足をお運びください。

↓縁起物のおはじき
天平工房 - おはじき

毎年、新年を迎える頃に、人気を博すのが、縁起物のおはじきセットです。
魔をはじく」というところから来ています。

陶器製なので、実際にこのセットで遊ぶと割れてしまいますので、お飾りとして家に飾るのをお勧めします。

天平工房さんでは、素晴らしい一流の博多人形作品を、見事なお屋敷で堪能出来ます。
ぜひ機会あればお立ち寄りください。

店舗情報

店名:天平工房(てんぴょうこうぼう)
営業時間:9:00-17:30
定休日:不定休
住所:糸島市前原中央3-9-30
HP:https://www.facebook.com/tenpyokobo/
地図:

(※2018年12月現在の情報です)

明日も糸島を楽しみます!!

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(Itoshima Guesthouse Kotonoha)