【後編】オリジナルの組子を追求!伝統を受け継ぐということ。糸島の松尾建具製作所

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こんにちは!

要注目の観光地・福岡県糸島市で、
ゲストハウス「前原宿(まえばるしゅく)ことのは」を運営する、のぎー&かなです。
本日もブログ訪問ありがとうございます!

前編に引き続き、組子(くみこ)専門の松尾建具製作所のお話です。

珍しい、組子専門の工房を訪問!

↓工房外観
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↓工房内観
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工房は筑前前原の老松神社の向かいにあります。

↓作りかけの組子
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美しい。

工房に入って、パッと目に飛び込んでくる組子です。
いろいろな大きさや形をした材料が雑然と置かれていますが、その混沌の中から生まれた組子のパターンはやっぱり輝いて見えますね。

↓工具も並んでいます
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綺麗に整理整頓されています。
工具も本当に美しいんですよね。

「用の美」です。

私は民藝運動をおこした柳宗悦(やなぎむねよし)が好きで、東京在住の頃は、日本民藝館にもよく足を運びました。

民藝とは、広く名が知られたわけではない、ごく普通の人が、実用のために作ったものに「美」を見出した活動のことを言います。
芸術は、それこそロダンやゴッホやピカソなどの、特別な人のものだと誤解されがちですが、そうではなく、ごくごく普通の生活の中にも潜むものだと、「日々の生活」に光を当てたのです。

工具ってのは、目的を達成するために作られているので、無駄が一切なく、使いやすさ・丈夫さを目指して、長い時間をかけて磨き上げられているので、本来洗練されていて美しいのです。

ものづくりの現場に足を運ぶと、いつも「用の美」という言葉が頭をよぎります。

機械にはできない、文化の伝承とは?

↓無造作に置かれた組子
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↓丸や三角、四角の組み合わせ
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松尾さんと話していると、デザインについて、常に試行錯誤をしているのが分かります。
本やインターネットで紹介されている組子のパターンだけでも数百はあると思いますが、それらを真似るだけではなく、常にオリジナルを求め続けておられます

全てが直線で構成される組子や丸いパターンのみが現れる組子など、ある意味ありきたりです(作るのは簡単じゃないとは思いますが)。
いや、そうではなく、「丸や三角、四角の組み合わせ」が全部現れる組子は作れないかな〜と、松尾さんは考えておられました。

「丸、三角、四角」はデザインに関心がある人ならピンと来るテーマだと思います。
この世に形あるものを分解していくと、結局は「丸、三角、四角」の組み合わせになるからです。デザインの原型ですね。

禅画で有名な仙厓さんの絵にも見られます。禅宗的にも重要なモチーフなんです。

前編にも書きましたが、松尾さんは、「伝統技術を残したい一心」で手彫りの組子細工にこだわっておられます。

飛鳥時代から続く技術です。でも今は受け継ぐ人がほとんどいなくなっています。
機械や人工知能が勝手に発展させてくれるんでしょうか。。。。「丸、三角、四角」がどうのこうのとか勝手に考えてくれるでしょうか。。。。

1500年以上の「連綿と続いてきた歴史の流れ」が少なくとも理解できなければ、受け継いで発展させようという動機が得られないと思います。

松尾さんと話していて、伝統とは「受け継ぐ」ことに最大の意味があるのかもしれないと思うようになりました。
伝統に深い意味を詮索するのは野暮なのかもしれません。

悠久の大きな河の流れのようなもので、ここで自分が堰き止めてもいいのだろうか・・・
伝統を受け継ぐという心境はそういう感じかもしれません。

素材の美

 

また、話を聞いていると、組子に使う素材についても興味が湧いてきます。
実は、ほんの少しの狂いも許されない組子の世界では、建物を作る建材の世界でA級品扱いの木材でも、組子には全く使えないということがあるようです。
どれだけ贅沢なんだ!って感じですが、組子に本当に向いている木材は、なかなか手に入らない超高級品らしいのです。

しかも、素材にも種類があります。

↓神代杉を使った地獄組みの組子
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この組み方を地獄組みというそうですが、一度組んだら分解できないそう。
見ただけでは、どう組み合わさっているのか全然分かりませんが、この少し青黒い素材は、神代杉(じんだいすぎ)といって、長い間火山灰の中に埋もれていたそうで、超貴重品です。

そんなのがあるんですねー。

そして、ヒノキ科のサワラです。

↓ヒノキ科のサワラ
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パッと見てよく分からないと思いますが、オイルを塗ったようにテカテカ光っています。何にも塗ってないんですがね。
素材でも雰囲気が違ってきます。面白い。

奥が深い世界です。
ちなみに建具用の組子はやっぱり値が張るので、気軽に組子の世界に触れたい方は、組子のコースターがオススメです。

↓応援プラザにて販売中
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糸島・志摩初エリアにある、いとしま応援プラザにて松尾さんのコースターが販売されています。

↓宿にも置いてあります
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コースターの上に置くのも、コップだけでなくて、ガラスの花瓶でも可愛いですよね。自分で組子を作れなくても、組子を楽しんで応援する人がいることが、伝統を守るのにとても大切だと思います。

明日も糸島を楽しみます!!

店舗情報

店名:松尾建具製作所
営業時間:未定
定休日:土、日曜
*店舗を訪れる際は、あらかじめ状況をご確認ください。
住所:糸島市前原中央1-5-50
HP:http://www.itogura.net/chabudai/kumiko.html
地図:

(※2017年3月現在の情報です)

**糸島コンシェルジュがいる宿**
福岡・糸島ゲストハウス
前原宿(まえばるしゅく)ことのは
(Itoshima Guesthouse Kotonoha)